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 データの集積や活用だが、個人は「eios.BC」対応のアプリを用い、検査結果や特定健診結果、活動履歴、購買履歴などを入力。その際に、運営組織に属する企業からトークンが受け取れる。研究機関や企業等は、個人情報を除いたデータを受け取り、活用できる仕組みで、この場合も対象となる個人にトークンが支払われる。例えば、「糖尿病治療を受けている」「希少疾患を持つ」など、研究機関にとって価値の高いデータであれば、対象となる個人はトークンポイントを高く設定することも可能だ。 同社は、「eios.BC」を活用し、関西、広島県でそれぞれ、「ヘルスケアデータ利活用」「医療費の適正化」についての検証を進めている。関西では、阪急阪神ホールディングス株式会社を中心に、「eios.BC」で蓄積したヘルスケアデータを地元企業や研究機関と共同で利活用し、地域住民の健康状態の解析や健康改善策の開発・提供を支援するプロジェクトが進行中。また、広島県では広島大学を中心に、「eios.BC」上で個人管理されたヘルスケアデータを活用しつつ、健康状態をスクリーニングするAIを連携させ、自動的にセルフチェックすることで、フレイル等への気づきを促す取り組みだ。 九州では、久留米地域での取り組みが始まる予定だ。九州地域の企業と連携して、市民の健康の見える化と、小学生や中学生など若年層への正しい健康知識の普及を目指す。健康であることが価値になる「健康経済」の実現を目指し、医療情報などの流通実証も行う計画だ。  さらに、中村代表取締役は、医師会との連携の可能性も示唆している。患者の生活習慣や既往症などを事前に知ることで、適切な治療につながるほか、医師会会員になるインセンティブも生まれると考えている。 中村代表取締役は「各地域での実証事業の結果から、『eios.BC』の多角的な可能性が見えてくると思います。今後、個人の健康状態が他者と共有され、適切なサービスとのマッチングと利用状態に応じたフィードバックが行われると、ヘルスケアサービスはさらに深化するでしょう。そのためにも企業単体ではなく、自治体や大学、医療機関などと連携をとり、地域の特性に合った活動を進めていきたいと思います」と抱負を語る。

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